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黒字倒産とは?利益とキャッシュフローの違いを高校生にもわかるようにやさしく解説

6 日前
読了時間: 7分

ニュースで「業績は黒字だったのに、会社が倒産した」という話を聞くと、不思議に思うかもしれません。利益が出ているなら、会社は元気なはずではないか、と考えるのが自然です。実は、会社の「もうけ」と「手元にあるお金」は別のものです。この記事では、黒字倒産とは何か、そして利益とキャッシュフローの違いを、身近な例を使って整理します。

電卓と書類を使って会社の利益と現金の動きを確認している様子

そもそも黒字倒産とは?

黒字倒産とは、決算書の上では利益が出ている(黒字)にもかかわらず、支払いに必要な現金が足りなくなり、事業を続けられなくなることをいいます。昔から「勘定合って銭足らず」という言い回しがありますが、帳簿の計算は合っているのにお金が足りない状態を表した言葉です。

ここでいう「黒字」とは、一定期間の収入(収益)から費用を引いた結果がプラスだったことを指します。一方、倒産のきっかけになるのは、従業員の給料、仕入先への代金、家賃、借入金の返済などを、期日に現金で払えなくなることです。つまり、黒字かどうかと、支払える現金があるかどうかは、別の問題なのです。

利益とキャッシュフローは何が違う?

利益は「会計上のもうけ」

利益は、損益計算書という決算書で計算されます。基本的な考え方は「収益-費用=利益」です。このとき会計では、お金を受け取った日ではなく、商品やサービスを相手に引き渡した日に売上を計上するのが原則です。たとえば、商品を渡して「代金は来月払います」と言われた場合でも、商品を渡した時点で売上になります。こうした代金を後で受け取る権利を、売掛金(うりかけきん)といいます。

キャッシュフローは「現金の出入り」

キャッシュフローとは、実際に現金が入ってきた額と出ていった額の動きのことです。スマートフォンの電子マネーの残高が、チャージすれば増え、使えば減るのと同じ感覚で、会社の現金の増減を追いかけます。売掛金のまま回収されていなければ、売上があっても現金は増えていません。

具体例:雑貨店で考えてみよう

小さな雑貨店が、ある月に次のような取引をしたとします。

  • 商品を60万円で仕入れ、その場で現金で支払った

  • その商品を、取引先に100万円で販売した(代金は2か月後に受け取る約束)

  • 家賃や給料など、その月の経費20万円を現金で支払った

損益計算書で利益を計算すると、売上100万円から仕入60万円と経費20万円を引いて、20万円の黒字になります。ところが現金の動きを見ると、入金はまだ0円で、出ていったお金は合計80万円です。手元の現金は80万円減っています。もし店の現金が80万円より少なければ、代金を回収する前に支払いができなくなってしまいます。これが黒字倒産の基本的な仕組みです。

紙幣のイメージ。会社の手元にある現金と利益は別のものであることを表す画像

黒字倒産が起こりやすい主な理由

黒字倒産は、特別な会社だけに起こるわけではありません。次のような場面で、現金が不足しやすくなります。

  • 売掛金の回収が遅れる:売上は計上されていても、取引先からの入金が遅れたり、取引先が支払えなくなったりすると、現金が入ってきません。

  • 在庫を多く抱える:商品や材料を先に仕入れて現金を支払っても、売れるまでは現金が戻りません。

  • 設備投資や借入金の返済が重なる:工場の機械や店舗の改装に使ったお金、借入金の元本の返済は、現金は出ていきますが、利益の計算上はそのまま費用にはなりません。そのため、利益が出ていても現金は大きく減ることがあります。

  • 急に事業が拡大する:注文が増えると、先に材料費や人件費を払う必要が増えます。成長している会社ほど、現金が先に必要になることがあります。

商売では、「仕入れて、売って、代金を回収する」という流れの中で、どうしても支払いが先に来て回収が後になるズレが生まれます。このズレをうめるために必要なお金を、運転資金(うんてんしきん)といいます。

逆に、赤字でも倒産しないことがある?

反対に、損益計算書では赤字でも、すぐには倒産しないケースもあります。その理由の一つが減価償却です。減価償却とは、長く使う設備や機械の購入代金を、使う期間にわたって少しずつ費用にしていく会計の手続きです。たとえば100万円のパソコンを5年間使う場合、購入時に全額を費用にするのではなく、毎年20万円ずつ費用にします。このとき毎年の20万円は、実際にはお金が出ていかない費用です。そのため、利益が小さくても、現金はそれほど減っていないということが起こります。

もちろん、赤字が長く続けば現金も減っていき、いずれは事業が続けられなくなります。大切なのは、利益と現金の両方を見ることです。

キャッシュ・フロー計算書では何がわかる?

会社の現金の動きを一覧にした決算書が、キャッシュ・フロー計算書です。上場企業などは、有価証券報告書という資料の中でこの計算書を開示しています。この計算書では、現金の動きを次の3つに分けて表示します。

  • 営業活動によるキャッシュフロー:本業で現金がどれだけ増減したか。商品の販売代金の回収や、仕入・給料の支払いなどが含まれます。

  • 投資活動によるキャッシュフロー:設備の購入や売却、有価証券の売買など、将来のための投資による現金の動きです。

  • 財務活動によるキャッシュフロー:銀行からの借入や返済、株式の発行など、資金の調達と返済による動きです。

たとえば、損益計算書で黒字なのに、営業活動によるキャッシュフローが長くマイナスという場合は、売掛金や在庫が増えすぎていないかを確認する手がかりになります。ただし、一時的に数字がマイナスだからといって、ただちに危険とは限りません。会社の事業内容や成長段階によって見方は変わるため、複数の年度や他の数字と合わせて読むことが大切です。

なぜ今、利益とキャッシュフローの違いが重要なのか

原材料や人件費などのコストが変化したり、取引の形が多様になったりすると、会社が先に払うお金の額や、回収までの期間も変わります。資金繰りを正しく把握することは、企業の規模にかかわらず重要な経営課題です。

また、新しいビジネスの形でも、現金の動きは重要な意味を持ちます。たとえば、サブスクリプション型のサービスは、毎月少しずつ代金を受け取る仕組みです。さらに、製品を売るのではなく機能やサービスとして提供するProduct as a Service(プロダクト・アズ・ア・サービス)のような循環型のビジネスでは、企業が製品を保有し続け、長い期間をかけて代金を回収することがあります。このような場合、企業が先に負担する費用と、後から入ってくる収入のタイミングが大きくずれやすくなります。利益だけでなく現金の動きをあわせて見る視点が、ビジネスモデルを理解するうえでも役立ちます。

会計・データ・企業・社会とのつながり

利益とキャッシュフローの違いを理解することは、会計の最も基本的な考え方の一つです。決算書は、売上の増減といった一つの数字だけでなく、複数の数字を組み合わせて読むことで、企業の状況が見えてきます。

さらに、データ分析の考え方を使えば、過去の売掛金の回収状況や在庫の動きから、将来の資金の過不足を予測するといった応用も考えられます。会計の知識とデータの活用を組み合わせることで、企業が危機を避けるための情報が得られる可能性があります。会計の基本をもう少し広く知りたい方は、会計学の基本概念を解説した記事もあわせてご覧ください。

まとめ

  • 黒字倒産とは、決算書の上では黒字なのに、支払いに必要な現金が足りなくなって倒産することである。

  • 利益は「収益-費用」で計算される会計上のもうけ、キャッシュフローは実際の現金の出入りであり、両者は一致しない。

  • 売掛金の回収遅れ、在庫の増加、設備投資や借入金の返済、急な事業拡大などで、利益が出ていても現金は不足しうる。

  • キャッシュ・フロー計算書は、営業・投資・財務の3つに分けて、会社の現金の動きを示している。

  • 会社の状況を知るには、利益とキャッシュフローの両方を見ることが大切である。

平屋ゼミナールでは、会計学とデータサイエンスを中心として、企業や社会をデータから考える研究に取り組んでいます。詳しくは平屋ゼミナールのホームページをご覧ください。

 
 
 

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