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相関関係と因果関係の違いとは?具体例から高校生にもわかりやすく解説

7 日前
読了時間: 6分

「アイスクリームがよく売れる月は、海や川での水難事故も増える」。もしこんなデータを見たら、あなたはどう考えるでしょうか。アイスクリームが事故の原因なのでしょうか。もちろん、そんなはずはありません。しかし、数字だけを眺めていると、私たちは「一緒に動いているものには、原因と結果の関係がある」と思い込んでしまいがちです。

この記事では、データ分析の最も基本的で大切な考え方である相関関係と因果関係の違いを、身近な例と企業のデータを使って、数学が苦手な人にもわかるように解説します。

そもそも相関関係とは?

相関関係とは、2つのデータの一方が増えると、もう一方も増える(あるいは減る)という「一緒に動く関係」のことです。たとえば、気温が高い日ほどコンビニの冷たい飲み物がよく売れるなら、「気温」と「冷たい飲み物の売上」には相関関係があります。

相関の強さは、相関係数という数字で表します。相関係数は−1から+1までの値をとり、+1に近いほど「一方が増えるともう一方も増える(正の相関)」、−1に近いほど「一方が増えるともう一方は減る(負の相関)」、0に近いほど「関係がほとんどない」ことを意味します。2つのデータを点で表した図(散布図)で、点が右上がりに並べば正の相関、右下がりなら負の相関です。

ここで大切なのは、相関関係は「一緒に動いている」という事実を示しているだけで、「なぜ動いているのか」までは教えてくれないという点です。

因果関係とは?相関関係とどう違う?

因果関係とは、「Aが原因で、Bが結果として起こる」という関係です。雨が降ったから傘が売れた、というように、原因を変えれば結果も変わると言えるときに、因果関係があると考えます。

整理すると、次のような違いがあります。

  • 相関関係:2つのデータが一緒に動いている(原因と結果かどうかは不明)

  • 因果関係:一方がもう一方を引き起こしている(原因と結果の関係がある)

因果関係があれば、ほとんどの場合は相関関係も現れます。しかし、その逆は成り立ちません。相関関係があっても、因果関係があるとは限らないのです。

なぜ相関関係を因果関係と取り違えてしまうのか?

相関があるのに因果がない場合には、大きく3つのパターンがあります。

① 第三の要因が両方に影響している(疑似相関)

冒頭のアイスクリームの例がこれにあたります。アイスクリームの売上も水難事故も、実は「気温の高さ」という共通の原因の影響を受けています。暑い日が多いとアイスはよく売れ、同時に海や川で遊ぶ人も増えるため、事故も増えやすくなるのです。このように、本当は関係のない2つのデータが、第三の要因によって関係があるように見える現象を疑似相関、その第三の要因を交絡因子と呼びます。

夏の海辺の風景:気温という第三の要因が相関関係を生む例のイメージ

② 原因と結果が逆になっている(逆の因果)

企業の「広告費」と「売上」を考えてみましょう。広告費を多く使っている企業ほど売上が大きい、というデータがあったとします。「広告を増やしたから売上が伸びた」と読めそうですが、実際には「売上が大きく余裕のある企業だから、たくさん広告を出せる」のかもしれません。どちらが原因でどちらが結果なのかは、データを並べただけでは判断できないのです。

③ たまたま同じような動きをしただけ(偶然の一致)

データの数が多いと、無関係なものどうしでも、偶然似た動きをすることがあります。アメリカでは、ある年代の「ニコラス・ケイジ出演映画の本数」と「プールでの溺死者数」がよく似た動きをするという、有名な疑似相関の例が紹介されています。もちろん、映画の出演本数が事故を引き起こしているとは誰も考えません。

因果関係はどうやって確かめるのか?

では、因果関係があるかどうかは、どのように調べるのでしょうか。基本となる考え方は「他の条件をそろえたうえで、原因だと思われるものだけを変えてみる」ことです。

  • ランダム化比較試験(RCT):対象者をくじ引きのように無作為に2つのグループに分け、一方にだけ施策(新薬、クーポンなど)を行い、結果の差を比べる方法です。

  • A/Bテスト:ウェブサイトやアプリで、AパターンとBパターンの画面をランダムに表示し、どちらが購入されやすいかを比べる、企業でよく使われる方法です。

  • 統計的因果推論:実験ができない場合に、すでにあるデータから、できるだけ公平な比較になるよう工夫して原因の効果を推定する方法の総称です。

因果関係の分析方法の研究は、経済学でも重要なテーマです。2021年のノーベル経済学賞は、因果関係を分析するための方法論への貢献を理由に、デヴィッド・カード氏、ジョシュア・アングリスト氏、グイド・インベンス氏の3名に贈られました。「原因と結果をどう見分けるか」は、現在も世界中の研究者が取り組んでいる大きな問いなのです。

会計・企業分析で気をつけたい相関と因果

企業の財務データを分析するときにも、同じ注意が必要です。たとえば、「サーキュラーエコノミー(資源を循環させる経済の仕組み)に取り組む企業は、利益率が高い」というデータが得られたとします。これを見て「循環型の取り組みをすれば利益が増える」と結論づけるのは早すぎます。次のような可能性も考えられるからです。

  • もともと利益に余裕のある企業だから、新しい環境への取り組みに投資できている(逆の因果)

  • 経営の質が高い企業は、環境への取り組みも利益も両方うまくいっている(第三の要因)

  • 調べた企業の数が少なく、たまたまそう見えているだけ(偶然)

ノートパソコンの画面に表示された財務データとグラフのイメージ

また、AIや機械学習は、膨大なデータから「一緒に動くパターン」を見つけて将来を予測することが得意です。ただし、予測がよく当たることと、「その要因を変えれば結果が変わる」と言えることは別の話です。会計データをもとに経営の意思決定を支える場面では、「予測のための相関」と「施策を判断するための因果」を区別して考える姿勢が欠かせません。会計の基本的な考え方については、会計学の基本概念と実務での活用の記事も参考にしてください。

データを読むときに確認したい3つの問い

相関関係を見つけたときは、結論に飛びつく前に、次の3つを自分に問いかけてみましょう。

  • 逆ではないか?:原因と結果が反対になっていないか

  • 第三の要因はないか?:両方に影響する別の要因(気温、景気、企業規模など)が隠れていないか

  • 偶然ではないか?:データの数は十分か、たまたまの結果ではないか

この3つを意識するだけで、ニュースやSNSで目にする「○○な人ほど△△」「○○すると△△になる」といった主張を、落ち着いて読み解けるようになります。

まとめ

  • 相関関係は「2つのデータが一緒に動く関係」、因果関係は「一方が他方を引き起こす関係」です。

  • 相関があっても因果があるとは限りません。第三の要因(交絡因子)、逆の因果、偶然の一致に注意が必要です。

  • 因果関係を確かめるには、ランダム化比較試験やA/Bテスト、統計的因果推論などの方法が使われます。

  • 企業の財務データやAIによる分析でも、「予測」と「原因の特定」は分けて考えることが大切です。

平屋ゼミナールでは、会計学とデータサイエンスを中心として、企業や社会をデータから考える研究に取り組んでいます。データ分析と会計学の関わりについては、データサイエンスと会計学の融合:平屋ゼミナールの取り組みや、平屋ゼミナールのホームページもご覧ください。

 
 
 

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